意匠登録の要件

  • 意匠の新規性の要件(3条1項各号)


  • 一  意匠登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた意匠
    二  意匠登録出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された意匠等
    三  前二号に掲げる意匠に類似する意匠

  • 意匠の創作非容易性の要件(3条2項)

    意匠登録出願前に、その意匠の属する通常の知識を有するものが、日本国内または外国において公然知られた形状、模様、若しくは色彩またはこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときには、その意匠については登録を受けることができません。

    3条1項各号の要件を満たして、新規性のある意匠であっても、当業者が容易に創作できる程度の意匠に、独占排他権を与えることは、かえって自由な産業活動を阻害することになってしまいます。そこで法は、創作容易なものについては登録を認めない旨を定めています。

    平成10年の法改正において、日本国内のみならず外国においても公然知られた意匠等であることを要件に加えた理由は、日本産業が世界市場において製品競争力の優位性を保つために、創作性の高いデザインを適切に保護し、独創性の高い意匠の創作を促すことが必要であることから創作性の要件を引き上げました。

  • 意匠登録を受けることができない意匠(5条)

    一  公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある意匠
    二  他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがある意匠
    三  物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠

    このような意匠は、登録を受けることができません。公の秩序や風俗を維持すること、産業発展を阻害する要因を排除することは、公益上の理由から重要なことであって、これに反する性質のものは保護すべきでないという趣旨から規定されています。特許法においても、公の秩序又は善良の風俗、公衆の衛生を害するおそれのある発明は特許を受けることができない旨が定められていますが、意匠法においては、意匠は物品に係るものなので公衆の衛生を害するおそれがあるものが除かれています。

  • 組物の意匠の要件を満たしていないもの(8条)

    同時に使用される二以上の物品であつて経済産業省令で定めるものを構成する物品に係る意匠は、組物全体として統一があるときは、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができます。これら組物の要件を満たしていない場合には、登録を受けることができません。

  • 一意匠一出願の要件(7条)

    意匠登録出願は、経済産業省令で定める物品の区分により意匠ごとにしなければなりません。

    設定する権利内容を明確化という観点から定められ、一つの意匠について排他的独占権である意匠権を一つ発生させることにより、権利の安定性を確保し、無用な紛争を防止するためにとられた手続き上の便利及び権利設定後の権利侵害紛争等における便宜を考慮したものです。

    意匠ごとに出願されていないものとは、一つの部分意匠の意匠に係る物品の中に、物理的に分離した「意匠登録を受けようとする部分」が含まれているものは、意匠ごとに出願されたものとは認められません。

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